No.34「老人性痴呆?」症候群【予防医学コラム】

ただの物忘れ?それとも痴呆症?

年をとると物覚えが悪くなりますが、これには、加齢に伴う脳の機能低下であるただの「物忘れ」と、高齢者にしばしばみられる「痴呆状態」の2種類があります。症状はなんとなく似ていますが、両者は本質的に全く違うものです。

 

40歳代から始まる脳の老化! 

認知症_02年齢とともに脳も老化し、神経細胞の数が減っていきます。脳は数多くの重要な役割を担っていますが、その主な機能は「認知・判断・行動」。この中で「記憶」にあたるのが「認知」で、残念ながらここから衰えていきます。加えて、記憶力を補強する意欲や注意力も衰えていくため、年をとると何事にも億劫になったり意欲がなくなるのです。 脳の老化は一般的に40代から始まり、60歳前後にはそれが症状や障害として現れてくると言われています。

 

老人性痴呆とアルツハイマー病!!

加齢による物忘れとは別に、日常生活に支障をきたすような記憶障害や理解力・判断力の低下を示すような人は要注意です。 それらは、脳の神経細胞が通常の老化よりも急速に、いわば病的に壊され、脳の働きが衰えてしまっている状態です。中でも、脳の中に「アミロイド」と呼ばれるたんぱく質のカスが溜まり、急激に脳が委縮する“アルツハイマー病”は年々増加し、高齢者だけでなく比較的若い時期に起こる人も増えています。

 

脳に栄養が不足すると!

体重の3%に過ぎない脳ですが、体の全エネルギーの約20%を使っています。それだけ大量の栄養を必要とする、つまり、栄養と脳はとても密接に関係しているのです。 その為、偏った食生活や栄養バランスの乱れにより、脳に充分な栄養と酸素を送れなくなると、本来の働きができなくなります。例えば、糖尿病で血液中の糖分が増えたり、心臓病で充分な血液量を送れなくなると、脳はあっという間に活動ができなくなります。 また、ストレス・喫煙・飲酒・運動不足・睡眠不足などライフスタイルによっても、脳の働きは低下します。

 

大切な脳の栄養!

認知症_01血液や血管をキレイにしたり脳や神経の働きに良い「DHA」。それと共に、最近では脳の細胞膜を構成し、脳の働きに重要な役割をするリン脂質「ホスファチジルセリン」が注目されています。本来は栄養を材料に体内で作られるものですが、加齢により作る力が低下し記憶力・判断力・注意力などが衰えるため、ボケていくのです。

また、脳内のホスファチジルセリンは絶えず新陳代謝していますので、補給しないと減少し、脳の老化や痴呆を加速させ、精神不安などを招く原因にもなります。これらを現代の食事から摂ることは大変困難ですが、しっかり補給ができれば老化を遅らせることはできるのです。

 

栄養で脳を活性化!

脳は全身のコントロールセンターですから、脳の健康は心身の健康につながります。年齢に伴う細胞の減少は止められませんが、DHAやホスファチジルセリン、ビタミンEなど脳に必要な栄養をバランスよく摂ることが出来れば、血管や神経細胞を丈夫にし、今ある細胞を最大限活発に働かせることができます。それが、脳の老化を遅らせるだけでなく、記憶力はもちろん判断力や行動力、意欲など脳の様々な働きを高めることにつながるのです。

 

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