夏の間に少しずつ積み重なった胃腸の疲れや自律神経の乱れは、「疲労」「食欲低下」「だるさ」といった形で表れ、思いのほか回復に時間がかかってしまったり、秋口まで不調が続く「秋バテ」を感じる人が増えています。実は、夏の疲れは、夏の終わりから秋へと向かう時期に最も増えます。
ただの夏バテ…と気楽に考えている人は要注意!夏バテと肝臓は大きく関係していて、実は、夏バテの原因は「肝臓の疲労」だといわれています。
今年は、異例とも言える早さでの梅雨明け、災害と言われるほどの猛暑、記録的な豪雨、異常な動きをする台風…と、本当に異常気象で、体にこたえた人も多いのでは?
まずは、夏バテ?秋バテ?チェックしてみよう!
夏バテ?秋バテ? …バテcheck!!
「夏バテ」と言っても、今と昔では、夏バテのメカニズムが全く違うと言われています。
高温多湿の日本の夏
汗がかけない 熱が体の中にこもる |
激しい発汗 塩分・ミネラルの流出 |
体力の低下+寝苦しさによる睡眠不足
冷たいものの摂り過ぎ
胃腸の機能低下
旧型夏バテが起こる
下痢、便秘、食欲不振、体のだるさ
などの不調
暑い環境と涼しすぎる環境を行ったり来たり
暑い場所では交感神経が優位に
涼しい場所では副交感神経が優位に
めまぐるしく自律神経が入れ替わる
多くの女性は冷えを感じる
自律神経の疲弊
体の各組織で起こる機能低下
新型夏バテが起こる
下痢、便秘、食欲不振、冷え、ほてり、
不定愁訴など、症状は多岐
温度と湿度が高いというのが、日本の夏の特徴。
体力は使うし、胃腸の機能も低下する。そこへ、昔は冷蔵庫などがなかったため、食品の状態が悪くなり、結果、下痢や食中毒などになり、体調を崩す…という、体力消耗型の夏バテが主でした。
しかし、現代は環境が違い、冷蔵庫もエアコンもあります。その代わりに、温度が保たれている室内と、昔より暑い屋外とを往復するようになり、それによって、自律神経が乱れて適応障害を起こす人が多くなりました。これが現代の夏バテです。
さらに、冷蔵庫で冷やした飲み物を飲むことで、胃腸が冷えて、機能が低下します。
このように、今と昔では周りの環境がまったく違い、現代の夏バテは複雑にいろんな要素が絡みあっていると言われています。現代型は、体調だけでなく、精神的な部分にまで深く影響をもたらします。
暑さとエアコンによる冷えの繰り返し『自律神経の乱れ』
私たちの体には「体温調節機能」が備わっていて、暑いところでは、毛細血管を拡張させて皮膚表面へ多くの血液を集め、外気への放熱により体温を低下させます。また汗をかいて、汗が蒸発する時に熱を奪う[=気化熱]ことで体の熱を放出して、一定の体温を保っています。この働きを担っているのが自律神経です。
暑くて大量に汗をかく夏は、自律神経が常に働かなければなりません。夜寝ている間にも寝汗をかくような状態でいると、眠っているにも関わらず自律神経は一晩中酷使され続けることになり、休むことができずに疲れがたまってしまうのです。
また、身体はその都度、外気に適応しようとするため、猛暑の屋外からエアコンで冷えた室内に戻る時など急激な温度差ストレスや、冷えすぎた部屋に長時間いることによる“冷え”ストレスから、自律神経が乱れたりうまく働かなくなることもあります。こうした自律神経の変調が、胃腸の不調や全身の倦怠感、さらには食欲不振を招くのです。
体内の水分・ミネラル不足『脱水症状』
高温多湿の夏は、汗をたくさんかくため、血液中の水分が不足し、血液がドロドロになり、流れが悪くなります。すると、細胞への水分供給が不足し、細胞が脱水状態になってうまく働けなくなります。消化管への血流が低下すると消化がうまく行えないため、栄養が体に吸収されにくくなります。
また、汗と共に体内の塩分が失われると、塩を主成分とする消化液の分泌が少なくなるため、消化能力が低下し、食欲が低下するのです。
暑さによる食欲の低下『栄養不足』
上記のように食欲が低下する夏は、炭水化物のみの食事やたんぱく質不足に偏る傾向にあるため、栄養が偏ったり不足しがちです。
水分の過剰摂取
水分ばかり摂り塩分を摂らずにいることで消化能力が低下し、食欲不振を招く。
炭水化物のみの食事
ご飯やパン、麺類など糖質の摂取量が増えるほど、それらの代謝に必要なビタミンB群を消費。ビタミンB群が不足すると、糖質をエネルギーに変換できずに疲労を招く。
たんぱく質の不足
肉や魚、卵などのたんぱく質を多く含む食品が不足すると、新陳代謝に不可欠な栄養が不足し、疲れやすくなる。
食事を抜く
1日に必要なエネルギーや栄養素を補給できず、疲労を回復できなくなる。
夏(7~8月)は1年のうちでも紫外線量が最も多くなる時期。紫外線は免疫システムに影響を及ぼし、体内で疲労のもととなる活性酸素を発生させます。海に出掛けたときに、泳がずに太陽の光を浴びるだけでもグッタリ疲れることがあるのはこれが原因。
紫外線が皮膚に当たると色素沈着し、シワや火傷ができたりなどしますが、そうした化学的な変化に対しても、体がダメージを修復しようとするため、疲労の原因になります。
秋が深まるにつれて過ごしやすくなる一方で、夏の間に受けた紫外線や汗、冷房等の影響がじわじわと現れ、体は疲れを抱えた状態になります。
さらに、急激な気温の低下によって自律神経が乱れたり、体が冷えることで血行が悪くなり、髪や肌にも栄養が届きにくくなるため、身体だけでなく、秋には肌や髪のトラブルが増えます。
●疲れやすい、疲れが取れない
●むくみ ●風邪を引きやすい
●食欲がない ●体中がかゆい
●ハリ・コシの低下
●抜け毛が増えた
●うねりが出やすくなる
●角化異常によるアゴ・口周りのザラザラや角質肥厚
●日焼けによるシミ・ソバカス、肌のくすみ、肌ハリの低下
●ふけ顔やたるみの悪化
●乾燥による小じわ ●肌荒れ
夏の疲れは “肝臓の疲れ” ?!
肝臓は「お酒のアルコールを解毒・分解するところ」というイメージが強いですが、様々な働きにより人間が活動するための大量のエネルギーを生み出し、蓄えるというのが重要な役割があります。肝臓で生み出されたエネルギーは全身に届けられ、私たちは元気に生活できるのです。
しかし、様々な要因で肝臓に大きな負担が掛かると、十分なエネルギーが生み出せなくなるため、休養をとっても、身体が「元気がない」「疲れた」「だるい」と感じるのです。
この「肝臓の疲れによる全身の疲れ」は夏場になると一層深刻になります。夏には気温の変化に適応しようと、大量のエネルギーを消費し、身体にかなりの負担を強いられるため、負担が続くと、身体の調節機能が限界に達し、だるくなったり、発熱したり、胃腸の働きが低下するのです。
胃腸の働きが悪くなると、食欲がなくなり、あっさりしたものや冷たいものばかり食べがちになり、ビタミン、ミネラル、たんぱく質といった肝臓がエネルギーを生み出すために必要な栄養が不足するため、肝臓本来の力が低下し、秋以降の様々なトラブルを引き起こすのです。
肝臓の元気を保つために重要なのは、日常生活の中で「肝臓への負担を軽減する」ことです。
1日6時間以上の睡眠で肝臓を休ませ、疲れた肝臓を回復させる。
適度な運動は、血流を促し、肝臓をはじめ体の各機能を活性化させます。
ウォーキングなどの有酸素運動は効果的!1日20~30分程度を目安に続けることが大事。
お酒を飲む際には1回の量を減らし、週に2日は飲まずにしっかりと肝臓を休ませる。
ストレスは交感神経を緊張させ、肝臓への血流量を減らし、負担をかけます。
ストレスを溜めない、解消法を見つけることも大事。
暴飲暴食、添加物や農薬などの有害物質も肝臓に負担をかけるため、避ける。
肝臓への負担を減らすとともに、肝臓、神経、血管や血液など全ての体の材料であるバランスのよい栄養(必須アミノ酸・ビタミン・ミネラル)が欠かせません。
中でも・・・
肝細胞の再生にはたんぱく質が必要不可欠
肝機能を回復させるために必要